お医者さんに痛みをなるべく正確に伝える方法

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おはようございます。理学療法士として病院で働いています、あずき (@azucky824です。

みなさんは痛みがあって病院に受診したとき、「この痛くて困っている感じちゃんと伝わってるのかな・・・?」と疑問に感じたことはありませんか?

僕は理学療法士として整形外科クリニックで働いていましたが、「痛み」を伝えるのが苦手な人が多いなーって感じることが多々ありました。

今日は痛みを聞いて原因を探る方の立場から、どうしたら皆さんの痛みやそれで困っているのかということが、きちんと伝わるのかとうことを書いておこうと思います。

痛みって評価が難しい

そもそも論ですが、痛みって他人にはなかなかわからないものです。はたから見て、「痛そうに歩いてるな」とか「なんか膝さすってるな」とかは分かるけど、本当のところは本人しかわかりません。

極論いえば、痛くないのに本人から「痛い」って言われても確かめる術はあまりありません。

もちろん、医療現場では防御性の収縮やバイタルの変化などである程度確認は出来ますが、確実にとはいえません。

つまり、医師や理学療法士が一方的に評価するものではなく、皆さんからの適切な情報提供が必要だということはご理解頂きたいです。

OPQRST法という評価の仕方があります。

そこで、ひとつ覚えて欲しいものがあります。それはOPQRST法という、医療現場で用いられる問診のテンプレートです(他にも色々ありますが、これが一番メジャーだと思います)。

これがどういうものかというと、

  • 「O」:Onset(開始):痛みはいつ始まり、いつピークだったのか?
  • 「P」:Palliative/Provocative(寛解、増悪):痛みの軽減、増悪の有無、そしてその状況は?
  • 「Q」:Quality(質):痛みの性質は?
  • 「R」:Region(部位):痛みの部位はどこ?(関連痛も視野に入れる)
  • 「S」:associated Symptoms(随伴する症状):頭痛、狭心痛、麻痺、感覚異常はあるのか?(慎重に鑑別診断を行う)
  • 「T」:Time course(時間経過)

・・・という情報を評価のために聞き取りしましょうね!って感じのものになります。

僕たち評価者はこれらの情報をもとに、どういう痛みなのか、そしてその原因はなんなのかを導き出していくんです。

それじゃあもう少し詳しく見ていきましょう。

O)いつから痛いのか

まずはいつから痛いのか、です。重要な情報としては、「なんのきっかけで」痛くなって、最初の痛みから「減ってるのか増えてるのか」です。

炎症による痛みなのか、ほんとに一時的なものなのか、骨折(ヒビ含む)による組織の損傷なのかを確認する要素になります。

P)痛みが強くなったり弱くなったりすることはあるか

さらに踏み込んだ情報として、痛みの増減がある条件を探っていきます。たとえば、歩くと痛いけどじっとしてれば痛くないとか、朝だけ痛いとか情報があると発痛組織を見つけるのに役に立ちます。

Q)どんな痛みか

これが多分、言う方も聞く方も一番むずかしいのですが、たとえば「鈍い痛みor鋭い痛み」かっていうのがわかりやすいかもしれません。

これもどこの組織が痛みを出しているのかを探りだす大事な指標になります。

一般的に、鋭い痛みでは表層の組織、鈍い痛みでは深層の組織を疑うことが多いです。

R)どこが痛いか

ついにきました!一番患者さんが伝えたいのはこの「部位」です。別にこのOPQRSTは順番があるわけではなく、漏れのないように覚えやすい順番(アルファベット順)になっているだけなので、もちろんこれを最初に伝えてもOKです。

みなさんが伝えるときは「ここです」とか「この辺です」って伝えることが多いと思います。

僕たちはその時に指で指している(Finger Sign)のか、手のひらでなでるように示している(Palm Sign)のかでどこの組織が痛いのかを整理していきます。

S)他にも症状はあるか

ここで特に整形外科的に聞きたいのは「しびれがあるか」「異常感覚(触られた感じが鈍い等)があるか」です。他にも「ひきつれる感じ」や「熱を持ってる感じ」とかも重要です。

T)どのくらい時間がたったのか

これ最初の「いつから痛いか」とかぶるように見えますが、それだけ「いつから」「今はどう変わってるか」っていうのが重要だと理解して頂けるといいかなと思います。

たとえばもじゅ10年以上前から痛いものだと外科的な治療以外に解決法はなさそうですが、10年前にあって一旦落ち着いたけど、同じようにまた痛みだしたってなると話は全然変わってきます。

例えば・・・

ちょっとここで例を上げてみましょう。最近肩こりが激しいなと思っていて、ついに手が上がらないくらい痛くなってしまったケースとします。それをある程度上記のOPRST法に照らし合わせてお医者さんや理学療法士に伝えてみます。

「ここ2週間くらい肩が重いなと思っていたんですが、今朝起きたら手が上がらないくらい痛くなってしまいました。(O&T)」

「腕を下ろしていれば痛くないのですが、上げるとこのへん(腕の上の方を指差す)がズキッと強い痛みがして上げられません。他の所に痛みはないし、特にしびれたりもしません(R・Q・S)」

・・・というような感じでしょうか。

この症状で僕たち理学療法士が先生とお話するときに考えるのは、

「前兆はあったけど急激な増悪がみられているけど、具体的なきっかけを確認しないとな」
「しびれなど神経系の症状はないようだから、頚椎症の可能性は少ないかな、肩の炎症とか改選筋腱板の損傷・断裂かな」

・・・みたいな感じですね。ここでお医者さんなら直接診断できるのでレントゲンとったりMRIとったりします。僕たち理学療法士は診断を下すことはできないので、先生により詳しい情報(肩は90°まで上がりますがそこで保つことはできませんとか)を付け加えて診断をお願いすることになります。

あとがき

いかがだったでしょうか。僕たち理学療法士は痛みの評価については結構詳しくやっていく必要がある職業ですが、最初にも言ったとおり患者さん達はどんな情報を僕たちに渡せばいいのかわからないことが非常に多い印象です。

この記事に書いてあるように、情報を予め整理してから伝えてもらえるとみなさんの困っていることというのが切実に、かつ正確に伝わると思います。

痛いことはあまり歓迎すべきことではありませんが、もしそうなった場合ぜひ使ってみてくださいね。

それでは、あずき (@azucky824でしたー。

この記事を書いた人

azucky824

1987年生まれ ゆとり第一世代。実家は千葉で代々漁師の家系。
大学で上京し、住宅営業マンを経て現在は理学療法士を目指して専門学校生。
好きなものを語る場としてこのブログを管理・運営してます。