コロナ2年目の回復期リハビリテーション病院の現状について

こんにちは。あずき (@azucky824です。実は、ブログに限らずこうしてPCの前に座って文章を書くのも久々です。ブログの更新でいけば4ヶ月以上ぶりでなにやら少し緊張しています。今日は、理学療法士として医療に携わる中でコロナウィルス下に起こっていることを、僕の目を通して伝えておきたいと思ったのでキーボードを叩いています。

コロナウィルスが日本で蔓延して早いもので2年目です。緊急事態宣言の効力も薄れ自粛疲れなんて言葉も出てきて、一般レベルでもうウンザリだとか、国は何してんだとか、どっかの会社が広告で「竹ヤリで戦えというのか」なんて言葉を振りかざしてる。みんな精神的に不健全だなと思わざるを得ないような現実が目の前に広がっている。

医療職である僕の周りでも疲弊している感じはすごくある。消毒にすごく時間を取られたりだとか、お見舞いのご家族に面会断ったりとか、電話で現状をお伝えしたりだとか。あとノーマスクで来る患者さんに出直すことをお願いしたりなんてことも最近は少し増えてきたように思う。確実に社会で我慢できない人がはみだしてきてる感じがあるし、他人のことを慮れない人が増えたように思う。それはとても悲しいことで、なんていうか、とてもとても残念だ。それを踏まえて聞いてほしい。

コロナウィルス感染者が何件が出た

実は勤め先の病院でも複数回(4−5件)感染者が出た騒ぎがあった。幸いそこからの追加の感染者は出なかったから良かったけれど、感染者が出た病棟ではかなりキツイ感染対策をしていた。何重にもビニールを着込んで手袋と帽子をかぶり、床にビニールテープで線を引いてエリア分けをしてエリア間で道具の持ち込みは一切禁止。真冬だったとしても10分あれば大汗をかけるような装備品だ。

リハビリ介入にあたり、それらの装備を一人ひとり取り替える。回復期のリハビリテーションは一般に一人の患者さんに対して9単位つまりトータル3時間のリハビリを施術することが多いのだけれど、このときは全員に1時間ずつ介入するのがやっとで、全然治療が進まなかった。ウィルスの最前線の病院はこれを毎日やってるのかと思うとその疲労や苦労に頭が下がる。

院内での行動に加え、どう自宅に持って帰らないかも非常に気を使った。我が家には幼児が2人いるので奥さんと一緒に実家に帰ってもらった。いわゆるコロナ疎開ってやつだ。結果的に僕も家族も無事だったから本当に今もほっとしている。

コロナウィルスで変わったリハビリ

僕の所属しているところは回復期リハビリテーション病院というカテゴリで、コロナウィルスの最前線ではないところです。もちろん前述のとおり、病院なので院内での感染があれば対応する必要があるけれど。

もうこの系統の記事も何度か書いているけれど、もともと回復期というと、発症後や手術後で容態が落ち着いた方で、かつリハビリすることによって回復が見込める患者さんがほとんど。それが今は、急性期病院がコロナのために病床を圧迫されている関係で、重症度の高い方も回復期に送らざるを得ないため、僕の所属する病院でも今まで経験したこと無いような重症度かつ介助量の多い方を受け入れています。

回復期にいるのに、人の死に直面することもかなり増えましたし、重症すぎてリハビリできないようなレベルの方も多く、リハビリ室よりベッドサイドで介入することも多くなりました。回復期ってリハビリの力が一番発揮できる場所とよく言われるんですけど、今までで一番リハビリの無力さを感じた期間でもありました。

また、家に戻るにあたって、一番といっていいくらい重要なのでご家族が患者さんの現状を把握して、適切な介助や対応ができるように指導を受けてもらうことなのですが、お見舞いも来れず、リハビリの見学も本当に終盤にならないと出来ない現状で、数ヶ月ぶりに動きをみてがっかりされる人も多いし、逆に想定した以上に動けるようになっていて、環境を整えるのが間に合わないなんてことも最近はすごく多い。ご家族にもリハビリともに歩んでいく時間が本当は必要なのだと思う。

オリンピックについてどう思うか

友達からもよく聞かれることなのだけれど、オリンピックそのものについて、僕はやってくれたらいいなと思っている。というか、オリンピックに限らず高校生の部活の試合とかも含め、スポーツそのものは止まらずに動いてほしいなと思っている。

これは僕がもともとスポーツリハビリに携わっていたということも大きく影響していて、結構選手びいきな偏った考えをしているという自覚がある。そのうえで話をさせてもらえば、一般の人の1年とスポーツ関連の1年って重さが全然違う。今日できることが来年同じレベルのパフォーマンスができるなんてほとんど無い。たった一瞬のために練り上げた努力が報われる場所をどうか奪わないであげてほしい。

ただ、試合をすることや大会をすることそのものと、感染を広げないように仕組みを作ることは別々に考えてほしくて、観客とかスタッフとかかなり絞ってやる必要はあると思っているし、それが収益化されないであろうことは国としても覚悟してやってほしいなと思う。だけど、オリンピックと感染拡大が完全に分離できれば、今後の観光業とかエンタメ系の催し物にも応用できるノウハウがたまっていくんじゃないかなと思う。

世界規模でいろんな専門家から意見を集約して最高に安全で最高にエキサイティングな大会であることを心から応援している。

ワクチン接種が終わった。

僕は医療従事者なので、一般の方より一足先にワクチンの接種が始まり、4月後半に1回目。そしてつい先日2回目の接種が終わった。ファイザー社製のワクチンだったが、1回目は注射した部位に2日くらい痛みがあった程度。2回目は副反応が強く出やすいと前情報があったけれど僕も2日間くらい38℃台の発熱があった。それなりの関節痛もあった。抗体が効果を発揮できるようになるまで1週間程度かかるようなので、それまでは油断はできないけど、正直自分でも驚くほど安心感がある。治験みたいな意味合いもあるみたいなので、事細かに副反応は報告させて頂いた。これから打つ人たちの参考になれば嬉しい。

一方で、うちのリハビリ科でも大体1/3くらいの人が副反応が怖いと言って接種しなかった。世間ではワクチン差別なんてものがあるようだけど、まぁ恐怖感もあるわなと。患者さんの苦しみ方と見るとかなり強烈な症状が出るのに、これを抑制できるとなると強い薬なのかなーと感じるのも仕方ないかと思うところもあった。ただ、副反応について書かれた文献を翻訳して読む感じでは、他の予防接種ワクチンと比べても安全性は高いようで、怖がるばかりでなく正しい知識を入れることも重要だと思う。

気をつけて行こう。気を抜かずに行こう。

ここまで色々書いたけど、僕たちは特効薬のない病気と戦っている。切り札としてワクチンがマスコミには持ち上げられているけど、手洗いうがいとか消毒とかマスクきちんとつけるとか、人との距離をとるとか、これは原始的な手段なんかじゃない。竹ヤリなんかじゃない。きちんと科学的に医学的に証明された武器だ。

みんなきちんと武器をその手に持ってほしい。武器を手にとって戦ってほしい。誰かがこの戦いを終わらせてくれるわけじゃない。自分たちのことだと再認識してほしい。「政府はなにやってんだ」「製薬会社はなにやってんだ」って声もきこえるけど、自分の努力とか責任をまずは見てほしい。集団に埋もれずに、一人として生きてほしい。

この記事を書いた人

azucky824

1987年生まれ ゆとり第一世代。実家は千葉で代々漁師の家系。
大学で上京し、住宅営業マンを経て現在は理学療法士を目指して専門学校生。
好きなものを語る場としてこのブログを管理・運営してます。